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減価償却 個人と法人の違い

建物や建物附属設備、車両運搬具などの資産は、時の経過等によってその価値が徐々に減っていきます。税法では、このような資産を減価償却資産といい、減価償却資産は購入したらすぐに全額が費用になるのではなく、時の経過とともに毎期費用化していくことになります。

減価償却資産は、時の経過とともに価値が減っていくわけですが、その資産が何年使えるのかはわかりません。また、何年使えるかについては、主観も入りやすいため、税法においては課税の公平の観点から「耐用年数」が定められています。この耐用年数を使用し減価償却資産を耐用年数に渡って費用化していく手続きを減価償却とよんでいます。

償却方法については、定額法、定率法、生産高比例法などがあります。

  • 定額法…取得価額に定額法償却率を乗じて計算しますので毎期の償却が同じ(定額)です。
  • 定率法…未償却残高に定率法償却率を乗じて計算しますので、初めの年の方が償却額は多く年々償却額は減少します。
  • 生産高比例法…資産の使用度合いによって減価償却費を計算する方法です。

法定償却方法

では、減価償却の方法は自由に選べるのかというと基本的には選べますが届出書の提出が必要となります。償却方法を選ばなかった場合には税法で定められた「法定償却方法」で償却することになります。

  • 法人…定率法、建物のみ定額法
  • 個人…定額法

また、減価償却費を計上するかどうかについても個人と法人とで異なります。個人は、必ず減価償却をしなければなりません(強制償却)が、法人は減価償却をするかどうかは任意となります。

(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)

所得税法第49条

居住者のその年12月31日において有する減価償却資産につきその償却費として第37条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその者が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする

法人税法においては、減価償却費の額を損金経理することによって損金の額に算入することを認めています。

(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)

法人税法第31条

内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第22条第3項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする

個人と法人の償却方法の違いや、耐用年数を正しく理解して、利益計画やタックスプランニングを立てていきましょう。

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