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法人成りのメリット・デメリット

個人事業主が株式会社などの法人を設立し法人で事業を営むことを一般的に「法人成り」呼んでいます。商法から会社法に代わり、今までは資本金1,000万円が必要だった株式会社の設立も、1円からの設立が可能となり設立が容易になりましたが、どのようなメリット・デメリットがあるのかを挙げられるだけ挙げてみたいと思います。

メリット

  • 資本金1,000万円未満で設立した場合、設立から2年間は消費税の納税義務がない
  • 個人よりも法人の方が対外的な信用度が増す可能性がある
  • 銀行融資を受けやすくなる可能性がある
  • 所得税は所得が高ければ高いほど税率も高くなるが、法人税の税率は一定
  • 個人事業主の場合、本人に対する給与という考え方はないが法人の場合には代表者に対する役員報酬を支払うことにより費用計上できる。また、支払った役員報酬について給与所得控除があるので税負担は減少する。
  • 代表者である本人だけでなくその家族も役員とすることにより役員報酬を支払うことができ所得を分散することができる
  • 退職金を支払うことができる
  • 個人で契約していた生命保険を法人契約に見直すことにより、法人では一部損金として計上でき、個人では支出を減らすことができる
  • 自宅を社宅として法人で借りて賃料を支払い、本人から一部負担してもらうことにより差額が費用となる
  • 減価償却について個人は強制だが法人は任意
  • 欠損金の繰越が個人は3年だが、法人は9年と長い
  • 決算期は個人であれば12月だったが、法人は任意に選択できる

デメリット

  • 法人設立に伴う設立費用がかかる
  • 赤字であっても法人住民税の均等割り(資本金1,000万円未満の場合7万円)が毎年発生する
  • 社会保険関係に強制加入する必要がある。また、社会保険労務士への委託により報酬支払が発生する可能性がある。
  • 法人の決算作業は、個人の確定申告よりも専門的であり、提出資料も増えることから税理士への委託により報酬支払が発生する可能性がある。
  • 今まで自由だったお金も、給与としてもらったお金の中からしか自由に使えなくなる
  • 接待交際費の損金算入額に上限がある

こうやってみると法人成りしたほうがメリットは多いように感じますが、実際に検討する場合には、具体的な数字を使って長期的なシミュレーションが必要になります。法人組織の場合には、税理士や社労士への業務の委託費用が増加するかもしれませんが、近年の税制は法人の税率は低く、個人への課税強化という傾向ですので、ある程度所得が増えてきた場合には法人成りの検討をおすすめします。

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